質感について

i-ppoたおか 田岡正臣 経堂 東京 テディベア
なかよし4人組

作品を作る場合、デザイン、絵柄やモチーフも大切ですが、それと同じくらい大切なものに、質感があります。

(テディベアでも、モヘアとウール、ビスコース、アルパカでは、それぞれに質感が異なりますが、素材にさらに加工を加え、他にはない、オンリーワンの質感を出そうと試みる人がいます。)

数回前のブログで、7月に布博に行ったことをお伝えしましたが、その時に併設されていた「ブローチ展」でそれを痛切に感じました。僕が和紙を重ねて作品を創るのも、独特の質感を出したい、という結果生まれたものです。

このブローチ展では、56割が陶器製だったのですが、自分も、結構な年月陶器を作ってきたのに関わらず、一体これは、どのように工夫して、この特異な質感を出しているのだろう、という、制作過程が想像できない作品も少なからずありました。

おそらく、そこに至るまで、相当な試行錯誤があったと思われます。

もうこうなれば、作品としては、ずば抜けた個性を発揮していると言えるのですが、得てして、そういう作品に限って、デザインや絵柄が凡庸なことが多いようです。

想像するに、デザインや絵柄に自信が持てないので、質感を出すことに全力を注いだ、ということなのでしょうか。あるいは逆に、デザインや絵柄が魅力的な人は、素材の質感に拘らなくても、充分人を引き付けることが出来るので、質感を生み出す苦労はしない、とも言えます。

さらに言えば、失敗を重ねて独自の質感を生み出した結果、精根尽き果てて、その他の部分にエネルギーを注ぐ余裕がなくなった、という見方もできますが。

いずれにせよ、デザイン・絵柄と質感は、「クラフトかアート」という命題のように、トレードオフの関係にはないので、充分両立出来るものなので、(自分も含め)質感に拘る姿勢は、すべてのハンドメイド作家に大切な事だと思っています。

しかしながら、新しい質感が生まれるのは、(偶然にできる場合もあると思いますが)、長い道のりの末に、ようやく辿りつく場合が殆どだと思います。