創作と作業

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仲良くしようね

昨年、ある展示会に出展した際、猫専門の雑貨店のオーナーから声をかけられました。

展示作品を見ていただいて、「これとこのタイプを、自分のネコ限定で、私の店で販売しないか」と提案されて、販売価格の4割はマージンで頂きます、という説明でした。

もうひとつの条件が、在庫が少なくなったら、同じタイプを補充する、ということでした。

以前から、委託販売の販路をもっと広げたい、と思っていたので、この話に飛びつきました。また、猫専門の雑貨店に自分の作品が並ぶことにも、憧れがありました。

翌日、メールで、詳しい条件が説明されて、初回納入の期限も記されていたのですが、その後じっくり考えてみると、同じタイプの作品を、沢山作る行為にどれほどの意味があるのか、と思い始めました。

幸い、自分は、作品の売り上げで生活しているわけではないので、「食うために作る」ことはしなくていい(これは傲慢に聞こえると思いますが、幸いにも、そんな有難い境遇にある、ということで、ご理解ください。)。

そうなると、自分の作品が、あの店に並んでいる、ということだけのために、(売れた場合ですが、)る、確かに多少の宣伝効果はあるだろうが、期限のあるあまり楽しくない作業を自分に強いることになる、と思ったのです。

以前、知り合いの方が、ある大規模な展示会に出展した際、●ィズニーランドから、注文を受け、天にも昇る気持ちで承諾したが、デザインとキャラクター、素材も指定され、同じタイプの作品(作品というよりは商品か)を数百個作ることになり、期限に間に合わせるために、自分の創作と睡眠時間を削って、大変な苦労をした、という話を聞いたことがありました。

その方は、もう二度とあんな思いはしたくない、と言っていたのですが、その話も思い出し、数日後にお断りのメールをしました。勿体ない気もしましたが、今でもあの選択は正解だったと思っています(委託販売を中心に活動している方、御免なさい。あくまで、これは僕の独断です。)

それ以降、委託販売は、好きなものを好きに作らせてもらえる、という条件でしか受けないことにしました。

 

お蔭様で、他の作家さんが、雑貨店で委託作品を出展していても、以前なら、どうすれば、ここに並べてもらえるのだろうという思いが強かったのですが、有難いことに、それ以降、あまり気にならなくなりました。