人形/ぬいぐるみを制作している「i-ppoたおか」です。
ブログは日記のようなものなので、他人に自分のプライベートを公開する人の気が知れない、とずっと思っていました。これが、かなりの偏見であることに、最近ようやく気づきましたが、そう思っていた僕が、「ブログ始めました。」と言って、この文章を書いているのだから、驚きです。
ここでは、ハンドメイド=創作やハンドメイド作家に関すること、および自分の創作活動を含め、ハンドメイドに大なり小なり関連することを、書こうと思っています。
まあ、ハンドメイドに関するエッセイのようなもの、と思っていただければ、結構です。
ハンドメイドに興味がある人に限って書くのは、理由があります。
最近、ハンドメイド人口が急激に増え、イベントやコンベンション、ネット上のマーケットプレイスなどが増加し、作品を発表するハードルが一気に下がりました。
僕が若いころは、発表する場が殆どなかったと記憶しています。それを考えれば、今のハンドメイド作家及び予備軍はもの凄く恵まれています。
それに伴い、ハンドメイドのサイトやブログ、書籍も随分多くなり、情報が溢れています。
ハンドメイドコンサルタントのような人も現れるご時世です。
僕がブログを書こうと思った動機は、これらのおびただしい情報に偏りが感じられたからです。まず、圧倒的に成功者やマスメディアの目線で語られていること、女性の目線(特に主婦。別に主婦を非難している訳ではないですからね。)で語られていること、そして、ここが重要なのですが、売り方、目立ち方について語られたものは数多いのですが、ハンドメイドそのものの楽しさ、アートの側面から語ったものが、比較的少ないと思うのです。
このブログでは、ハンドメイドがアートだったらいいなと思っている、数十年以上の社会経験がある男性の、ハンドメイドに対する熱い思いを書いていければいいな、と思っています。
僕と同じく、ハンドメイドをアートと考え、売ることを第一と考えてはいないけれど、数多くの人に見てもらいたい、と思っている方に、共感してもらえれば幸いです。
また、ハンドメイド作品をアートとして、購入、収集、鑑賞している人にも興味を持ってもらえたらいいな、と思います。
それでは、よろしく!
いきなりこの表題で書くか?これで一挙に読者がいなくなるのでは、と自分でも思いますが、これはいずれ書かなくてはいけないこと。先に書いてしまいましょう。
意見を異にする人を、あまり引っ張っては申し訳ないので、最初に、所信表明?しておきたいと思います。
昨今、モノを創る人=創ったものを売る人、という等式が出来上がっています。
絵画はまだそこまで行っていないと思いますが、ハンドメイドを始めたり、創作系の教室に通ったりすれば、数多くの、イベント、コンベンション、作品展、個展、BOX販売、ハンドメイドマーケットプレイスなどの存在に、気づくようになり、自然と、いずれ自分も売ろう、作家と呼ばれる人になろう、と思うようです。
これはこれで、大変良い事だと思っています。なにしろ作品を発表する場がなければ、売れないのですから、それだけ人に自分の作品を見せることが出来るチャンスに溢れているのです。
これは、少し前までは、選ばれた、ごく一部のアーティストにしか許されていない、特権でした。今はとても敷居が低く、作品を売るチャンスは、誰にでもあります。
本音を言えば、僕も売れた方が、作品が認められたことの証になり、嬉しい。
だから、売るための工夫やメンテナンスは、自分なりのスタンスで、どんどんしていきたい、と思っています。
問題は、売ることが、当人の中で、どれだけ優先されるか、ではないでしょうか。
「売れることが一番大切」「沢山売れないと意味がない」という人もいるでしょう。各人の事情もあるでしょうし、当人がそう思う分には、僕がどうこう言う筋合いではない。
しかし、かなりの割合で、売ることが最優先でないのに、いつの間にか、巷に流れる情報や、世間評価、お隣さんの動向に翻弄されて、「売れなければ作家と言えない」「売れないとカッコ悪い」と思い始め、不本意な行動に走る人が、少なからずいるような気がします。
売れ線だからと言って作りたくないものを創ったり、罪悪感にかられながら、売れ筋を真似して作ったり、過去に売れた同じ作品を、つまらないと思いながらも、大量生産したり(しかも劣化版で。)。好きでもないのに宣伝のために、毎日ブログを更新する。売れている友人に嫉妬して、その自分に愛想を尽かす。
社交的でもないのに、作品を売るために、大勢の場に出ていって、疲れ果てる。
ちょっと待って。
あなたがハンドメイドを、創作活動を始めたのは、純粋に「創ることが楽しかった」からでは?
あなたは、そんなことをするより、一人で創作活動に没頭できる方が幸せなのでは?
「そんな考えだから、売れ残るのだ」「そんなことをしているから、あなたの作品は売れないのだ」という声が聞こえてきそうです。
思い出してください。純粋な創ることの喜び、最初の頃のワクワクを。
売れた方がいい、というのは、殆どの作り手の共通の願いだ、と思います。
でも、僕は、売りたいという気持ちと、そのために払う犠牲は、各人の性格、趣味嗜好、創作に対する姿勢、周囲の環境によって、大きく異なる、と思っています。
さらに言えば、僕が売るための犠牲行為、我慢と思うことも、別の人は、嬉々としてやるかもしれないのです。
すごく売れている人=成功している人の意見、それを支持するマスコミの意見は、正論として、受け入れられ易いのです。
あなたが、一番心地よいスタイルを思い出してください。なぜ創作を始め、なぜ続けているのか、忘れないように。(これ、実は自分自身に言い聞かせています。)
誰かが、あなたの意に沿わないことを耳元で囁いても、「私は私のスタイルでやる!」と言える勇気を、一緒に持とうではないですか。
ふー。大体言いたいことが言えたようです。
今回は、ハンドメイドって何だろう、という話です。
Hand madeは、日本語で、「手作り」です。
手作りが、Hand madeなら、料理も入りますが、ここまでは、普通は想像しないですね。
いわゆるハンドメイド展やクラフト展に出展されているものは、すべてハンドメイドといって差し支えないでしょう(当たり前か)。
ハンドメイドマーケットプレイスtetoteでは、バック・財布、アクセサリー、ファッション、ベビー&キッズ、ホーム&リビングと5つのジャンルに分類しています。
これはかなり便宜的な別け方で、例えば僕が依然やっていたレザークラフトは、なんとバック・財布、アクセサリー、ファッション、ホーム&リビングの4ジャンルにまたがります。
今やっている、人形・ぬいぐるみは、ベビー&キッズに分類されていますが、これには作家もFANも、相当違和感があると思います。テディベアショーやドールフェスタでは、お子様は、圧倒的少数派です。
アートの大御所、絵画は、たぶん壁にかけるからでしょうか、なんとホーム&リビングにカテゴライズされている!
ざっと見渡して気づくことは、買い手はあまり意識しないでしょうが、作り手から見れば、アート寄りのもの、クラフト寄りのもの、限りなく製品に近いもの、の三つに分かれると思います。
アートとクラフトの違いについては、次回以降に譲るとして、限りなく製品に近いハンドメイドは、工場で生産されるプロダクトより高額なのに何故存在するのでしょう。
これは工場のラインで大量生産するには採算がとれない、ニッチな製品を狙って創るからです。あまり大量には売れないが、確実に一定の需要がある実用品を創る。
これらは、素材、色、形の選定や、機能、付加価値に独自のものがあり、作り手の想像力・自己実現が働くのは、アイデア・企画までで、制作過程は外注に出してもなんら問題はないし、創作過程に喜びを感じることは、アート系、クラフト系に比べると、少ないと思います。
アイデア、企画力に感服するものもありますが、僕がこのブログの中で、ハンドメイドということばを使う時は、制作過程の中で、作り手、つまり作家の個性や技量が宿るものに限定しています(極めて個人的な定義ですが。)。
決して製品に近い作品を否定している訳ではありません。
このブログでは、作り手が企画から、創作過程の最後まで、想像力と技量を駆使して作るものについて語りたいからです。
ヘンリーダーガー(Henry Darger)をご存知ですか。
アメリカの画家で、「非現実の王国で」という小説の作者でもあります。日本でもその絵画に、熱狂的なFANがいます。彼の生涯は「非現実の王国とで」いうドキュメンタリー映画にもなっていますので、ご存知の方も多いでしょう。
いや、生涯一度も、絵も小説も公表したことがない点を捉えると、画家でも小説家でもないのですが、紛れもないアーティストです。
小説の件は脇において置いて、ダーガーが描いた絵の話をしたいと思います。
彼の絵画は、小説「非現実の王国で」の挿絵として描かれたものですが、雑誌や美術書では何度も目にしていましたが、2011年、表参道で開催された展示会で本物を観て、ひどく混乱しました。
はっきりいって稚拙な絵です。全く興味を示さない人も多いと思いますが、その絵の前から立ち去りがたい、魅力があります。作者の情念が絵にぶち込まれているがわかります。
でも、僕がここで語りたかったのは、ダーカーの絵そのものより、その作品が自分のためにだけ描かれた、という特異性についてです。
誰にも公表するあてのない絵など、描けるものだろうか?
書くとすごく長くなるので、彼の生涯について知りたい方は、ウキペディアででも、調べてくださいね。
彼は自分が住んでいたアパートの大家に、病気で入院する際、「持ち物をすべて燃やしてくれ」と頼んでいったのですが、大家がたまたま写真家で、かつ芸術にも造詣の深い人だったので、1972年、彼の死の直前、せっせと描きためられた絵を発見し、その芸術性に驚き、彼の作品が世界に公表されることとなったのです。
ま あ、彼は、掃除夫として81歳の生涯を終えたわけですが、自分のことを画家とも小説家とも思っていなかったでしょう。死後、高名な画家となった訳ですが。
僕が作品を創る時は、一定の「作品を気に入ってくれる層」を想定しています。
純粋芸術でもないですから、それは当然のことと思っています。
いや世界の巨匠と言いえども、全く公表する予定なく、誰に見せることも想定しないで、作品を創り続けたアーティストはいないと思います。
これは僕の想像ですが、ダーガーは、作品を創るすべての時において、殆ど迷うこともなく、自分の描きたいように描いただろうな、と思うのです。そこには他人に受けようという、一切の卑しさ?がなく、純粋な「描きたい」という気持ちだけがあった。
自分が作品を創る時は、他人を意識しまくって、概ね「ここまでやるとやり過ぎたか」「これでは、誰もかわいいと思わないな」「クマのつもりで作ったが、人がみたらクマにみえないからダメだな」「もっと手足を短めにしないと、受けないか」「○○さんなら、こうすうと気に入りそうだ」などと、思いつつ作っていますのが、時折無心で作っている時があり、ダーガーのことを、ふと思い出します。
ダーガーの清さに感服し、自分には到底無理だな、と思う次第です。
昨日、経堂のアトリエにてワークショップを開催。
3人の方が参加され、写真のような個性的なペーパードールが約3時間で完成しました。
和紙の色の選択や眼の選択からスタートし、暫くは、あまりの熱中ぶりに、互いに話かけることも少なく、静かな時が流れ行きました。
後半、それぞれ完成の目途がたったのか、余裕も生まれ、会話もはずみだし、本当に楽しいひと時を過ごせました。
3人のうち、お二人は、人形作りは全くの初めてとおっしゃっていましたが、写真のような堂々とした完成ぶり。
和紙の貼り方も、最初は実にゆっくりで、時間内に出来るだろうかとハラハラしていましたが、後半はテキパキと進み、予定内の時間で、全員が完成できました。
今回のワークショップでも、僕自身が思いつかない色使い(こげ茶にブルーの和紙を重ねる)、斬新な和紙の貼り方(マーブル状に2色を交互に貼り合わせる)をされる方もいて、有難い、新たな発見がありました。
ワークショップをアトリエで開催したのは今回が初めてだったのですが、特に支障もなく、むしろレンタルスペースを借りてやるより、静かで、広いスペースが使え、快適なくらいでほっとしました。
誤解があるといけないので、書いておきますが、かってにアトリエと称していますが、ここは、僕が会員となっている、いわゆる仕事のスペースを共有する場、コワーキングスペースです(名称PAX coworking。ネットで検索してみて下さい。)。
ここで、ペーパードールと、テディベア、ぬいぐるみを作成しています。
様々な職業の方がいらっしゃいますが、ここで創作活動をしているのは、僕だけです。
もし、これを読んでいる作り手の方で、自宅では集中できないで悩んでいる方が、いらっしゃったら、どうぞ、PAX coworkingにいらして下さい。
僕がペーパードールでメインに使用している和紙は、雲竜紙といいます。
透かしてみると写真のような、美しい「スジ模様」が入っています。
落葉低木の楮(コウゾ)をたたいて、ほぐして、糸状の繊維にし、手でちぎって紙に散らせて雲のような模様を施しています。
この紙に出会ったのは、水彩画の背景に、なにか今迄とは違った雰囲気を出すために良い素材はないかと探していた時、ある人から雲竜紙の話を聞いて、東急ハンズで購入したことがきっかけとなっています。
通常は、この紙は、高級ラッピング紙として使われることが多いようですが、薄手の雲竜紙を絵の背景に使うと抜群の効果が得られました。
ある時、雲竜紙を貼った自作の絵の背景を眺めていて、雲の模様がふと動物の毛に思え、人形に使ってみよう、と思い立ちました。
粘土に貼り合わせたところ、思い通りの効果が出て、それ以来病みつきになって使っています。特に薄手の紙は、重ねると、下地が透けて、思ってもいない効果が得られるので、あれやこれやと試しながら、楽しんでいます。おそらく、その当時、漆教室に通っていて、繰り返し、乾漆(かんしつ)で麻布を重ね合わせる作業をしていたので、それもヒントになったようです。
最初はハンズで買っていましたが、その後和紙専門店に行くと、厚みや色合いなど、様々な種類があることがわかり、もう観ているだけで楽しい世界です。
近頃は、幅の広い表現が出来るようにと、雲竜紙以外にも、色々な和紙を試しています。
和紙に興味がある方は、専門店では、日本橋の榛原(はいばら)が有名ですが、僕のお勧めは、池袋の「紙のたかむら」(豊島区東池袋1-1-2)です。
和紙の種類が多く、和紙の小物もあり、美術品をみるように、観ているだけでも楽しめますよ。
海外のお土産を探している方にもお勧めです。
ハンドメイドが生活の中心にあって、本当に良かったな、と思います。
おそらく、自分の知らない、未知の楽しさが、この世には沢山あると思うのですが、自分が経験したなかでは、モノを創るという行為がずば抜けて楽しいと思えるのです。
しかも、ハンドメイドは四度おいしい。
まず一度目。
あれを創ろう、これを創ろうと、頭の中でアレコレ考えている時。
特に、いままでにない素材、モチーフを使おうと策略している時、あるいは、全く新しいアイデアで、制作しようと思いつき、これを具体的なアイデアに落とし込んでいる時。
これは楽しいです。ワクワクどきどきします。
次に二度目。
実際に創作している時。特に夢中になって、我を忘れて取り組んでいる時。
チクセントミハイの、いわゆるフローの時間を過ごしています。
あっと言う間に時は流れますが、思い起こすと濃厚な時間が流れていたことに気づきます。
下世話な悩みがあっても、みんな忘れています。
個人的には、ちょうど瞑想しているのと同じ効果があるのかな、と思っています。
但し、思うように作成できない時は、イライラが募り、ストレスも溜りますが、それを乗り越えた時の、爽快感がまた格別です。
創作に一区切りついた後、頭の中が実にすっきりしています。完成した時は、いいようのない達成感があります(しかし、完成したと思っても、気づいた部分にまた手を加えるので、実際はどの辺りが完成なのか自分でも釈然としないことが多いですが。)。
三度目。
イベントや作品展などで、完成した作品を人に見てもらう時。
展示会などで、自分の作品に対して人が話すコメントに聞き耳をたてます。
厳しい意見もありますが、気に入ってくれたことがわかるコメントは、次の制作のモチベーションになります。お客さんとの会話になれば、これがまた楽しいひと時になります。
さらに買って頂いた時、手放したくない位に気に入っていた作品ほど、大変な感激を覚えることになります。
四度目。
他の作家の作品を鑑賞すること。
寡作な作家さんの、魂のこもった作品を観ると、本当に感動します。また、全く知らない作家さんでも、斬新なアイデアやモチーフに出会った時は、悔しい思いもありますが、脱帽して感動します。
ここまで書いて、ああ、ハンドメイドに出会えて良かったな、と思いますが、知り合いのアマチェアギタリストが、かつて、「ギターほど、魂を揺さぶるものはない。これさえあれば他になにもいらない。」と言っていたことを、思い出しました。
それが何であっても、自分で、これが一番好き、大切だ、と思えるものがあれば、それだけで人生はOKかな、と思います。
たまたま自分の場合、それがモノを創ることだったのかな、ということです。
僕のハンドメイド遍歴をお話しします。
高校、大学と美術部に在籍し、社会人になっても暫く絵を描いていました。
絵は、これからも生涯を通して描き続けると思います。職場で立ち上げた絵画サークル「欅会」は、退職した後も、継続して参加しています(今年2016年5月、下北沢で、11名のメンバー全員による作品展も開催しました。)。
しかし、一般的に、絵画はハンドメイドとは言わないので、絵画は除いたところで、お話しします。
以前から、モノ作りは好きだったのですが、ジャンルを絞って本格的にやろう、と思ったのは10年前から。
あれこれリストアップして、最初に手を付けたのが、レザークラフトです。
教室に通い、4年ほどやったでしょうか。自分も含め、家族全員にオリジナルの鞄を制作したところで限界を感じ、辞めました。
(並行して、絵画教室に通い、水彩画も学んでいました。)
辞めた理由、限界を感じたところは、制作するにあたって、縫い目が1mmの狂いもない間隔であったり、革と革のつなぎ目がぴったりと揃っている等々、丁寧に仕上げることに面白さを感じなくなったからです。
レザークラフトで出来る作品は実用品ですから、使い勝手を考え、左右均等でバランスよく、かつ丈夫に、見た目に美しく仕上げることが要求されます。こういったことが自分には、向いていないことに気づいたのです。どちらかというと、レザークラフトは、職人芸が要求さるのかな、と思います。
陶芸は以前からやりたい、と思っていたのですが、レザークラフトに限界を感じ始めた頃から、小田急線豪徳寺の陶芸教室に通うようになりました。
始める前から、陶器で動物を創りたい、という思いがあって、先生にその話をすると、まずは器を作れるようになってから、と言われ、約1年通い、器を作り続けましたが、それなりに面白いとは思ったのですが、何か違和感がありました。
その間、経堂のギャラリーで、宮腰多津子先生の陶人形の個展があり、先生の作品を観て、これだ、と思い、「陶人形」を習いたい、教えてください、と直談判しました。幸い、当時世田谷の太子堂で陶人形の教室をされていて、豪徳寺の教室を止めて、1年間、先生の元で陶人形の制作を学びました。
それと前後して、荻野令子先生から、漆を習い始めました。乾漆といって、麻の布を漆で貼り合わせて、器などを制作していました。
この時に習得した、貼り合わせる技法が、今のペーパードールに受け継がれています。
ここまでが、遍歴の前半です。
宮腰先生から教わっていた陶人形は、ようやく、やりたいことに出会えたな、という感じでしたが、残念なことに、先生が遠方に引っ越されることになり、教われなくなったのです。
宮腰先生より、「教えるべきことはすべて教えたから大丈夫」と言われ、新たに陶人形を制作できる場所を探すこととしました。
幸い、僕が住む世田谷区経堂の街に「まだん陶房」という陶芸教室があり、すぐにそこの自由会員となり、現在に至っています。
「まだん陶房」は、自由会員になると、予約がなくても、何時間でも作陶できるので、自由に創りたい人にとっては、抜群の環境です。
主宰の李先生やスタッフの方にも助けられ、本当に有難い場所が得られたな、と思っています。
しばらく陶器で動物を制作していましたが、色々な素材で動物を作ってみたくなり、テディベアやぬいぐるみの制作テクニックも身に付けようと、中野のテディベア教室「アイザックベル」に通うようになりました。
同時並行で、自宅で、色々な素材を使って、自分が思うものが作れないか、あれこれ試していました。
様々な粘土や布地を使用していくうちに、和紙を貼り合わせたら面白いのでは、と思いつき、この時の発想が、創作の三本柱のうちの一つである、ペーパードールになっています(他は、陶人形、テディベア・ぬいぐるみ)。
僕は、人から何を創っているかと聞かれたら、人形(ドール)とぬいぐるみを作っています、と言いますが一般的な人形(ドール)のイメージは、ビスクドールや、球体関節人形を始めとした、リアルで精巧な女の子の人形でしょう。
女の子も重要なモチーフのひとつですが、動物への興味が圧倒的で、どうしても動物が先にきます。
人形は、「ひとがた」と書きますから、狭義では人間を模して作ったものだけであることは百も承知しています。
Wikipediaでも、広義では動物を模して造ったものも含むとあるので、安心して人形を作っています、と公言しています(逆にヌイグルミと言うと、動物のイメージが圧倒的ですよね。)。アイザックベルは3年通ってやめ、ほぼ同時期に4年通った漆教室もやめました。
有難いことに、レザークラフトを含め、習ったことすべてが今の創作活動に役立っています。
この間、キャンドル教室やガラス細工教室にも、短期間ですが、通いました。
これからも、作るものは、動物がメインで、女の子の人形も作っていきたいと思います。
素材は、使えそうなものはすべて試すつもりです(何故なら使えるものを発見した時の喜びが、とても大きいから。)。
ただカワイイでなく、どこか変で、ゆるく、ブスい子達。
見て、眺めて、ホッとしたり、思わず笑みが浮かぶような作品を創っていければな、と思っています。
また、大勢の人に、人形やぬいぐるみを創る楽しさを伝えられたらいいな、とも思っています。
東京ビックサイトで7月23日と24日の2日間にわたって開催されている、ハンドメイドインジャパンフェスに、昨日行ってきました。
2回に分けて報告させて頂きます。
主催者は、ハンドメイドマーケットプレイスのCreemaで、歴史はまだ浅く、今年で確か4回目だったと思います。デザインフェスタは、もう何度も行っているのですが、僕としては、今回が初めて。昨年都合がつかず行けなったので、今年は早い時期に手帳に予定を書き込んでおきました。
主催者側がホームページで公表しているブース数は、4500で、かなりの大規模フェスタです。来場者は、昨年ベースで約53,000人とのこと。
開催5分前の10時55分に到着したら長蛇の列、30分後の11時25分に会場入り出来ました。でも、デザインフェスタのように、いったい何時になったら会場に入れるのか、という不安もなく、まあストレスなく会場に入れました。
あらゆるジャンルのハンドメイド作品があるところは、デザインフェスタと同じです。
ワークショップが多いところは、毎年5月に開催される日本ホビーショーに似ているでしょうか。
夏休みの課題目当てで、ワークショップに参加している親子が結構いたように思います。
最近、ハンドメイド関係の展示会、フェスタ等が増えていますが、自分としては、他の作家の作品を観るのは大好きなので、展示会やフェスタが増えるのは大歓迎です。
毎回、どんな作品に出会えるのか、ワクワクします。
なお、来年行かれる方は、会場内の食事は、高くて待たされるので、弁当を持って入場することをお勧めします(会場の外でも食べられますが、これがまた高い。)。
今回は、僕が感動した作家の中で、3人に絞ってご紹介したいと思います。勿論ご本人達の承諾も得ています。
まず、「noconoco」さん。
この方は、以前デパートの展示会で拝見した記憶がありますが、その時とはずいぶん印象が変わっていました。独特のゆるい風合いのある、動物のぬいぐるみを制作されています。
個性的なスタイルもさることながら、この方の素晴らしいのは、素材の布の選択が的確で、一体どこで売っているのだろうかと思わせる、特殊な布を多く使っているのですが、それが各キャラクターにぴったりなので、本当に驚かされました。じっくり見れば見る程、考え抜かれていることがわかります。
布地は日暮里まで行かれて、仕入れるそうですが、気に入った布でも、二度と手に入らないことも多いとか。横浜を拠点に20年活動されているそうです。
また、別のイベント会場で、ユニークなぬいぐるみにお目にかかりたいと思います。
「noconoco」さんへの、アクセス。
www.facebook.com/noconocom
blog ameblo.jp/noconoco1008/
気に入った作家さんに出会えるのは、本当に楽しいものです。
見つけた、ここにいた、という感じ。自分もそう思ってもらえればいいな、と思いますが。
あとお二人紹介させて頂きます。他にも何人か気にった方(木粉粘土でブローチを制作しているpippiさんも素敵でした。)がいましたが、今回は3人に留めさせて頂きました。
さて、2人目は、「yagi-ya」さん。
漢字にすると、「山羊屋」、なんと創る作品すべてが、山羊一色。
これには本当に感動しました。モチーフがたった一種類で、しかもそれが全部山羊!
山羊が大好きで、山羊に対する愛情が溢れているのがわかるのです。子育てをしながら13年間に渡り、制作しているそうです。山羊をこんなに多方面から見て、表現できるなんて素晴らしい。もっと山羊の写真を載せたかった。
個人的な話をすると、今年の1月の個展に来られたお客さんで、山羊の置物を探している方がいて、中々見つからなくて困っているようでした。受注制作をすることを提案したところ、承諾していただき、陶器で山羊を作って納めさせていただきました。
自分としては、それまで、山羊は全く眼中になく、こんなにマイナーな動物が好きな人がいるのだな、と思ったことを覚えています(今は山羊の魅力がわかり、レパートリーにしていますが。)。
その山羊を、こんなにチャーミングに幅広く表現できるなんて、本当に驚きでした。
「yagi-ya」さんへの、アクセス。
blog yagiya.exblog.jp
最後に「やのりな」さん。
この方は、まだお若く、キャリアも浅く、名古屋在住の方で、イベントを中心に活躍されているそうですが、今年の後半は作ることに専念し、イベントへの出展は来年以降にする、とおっしゃっていました。
この方の素晴らしさは、中々写真では伝わりにくいのですが、とにかく、制作過程を独自に工夫されていて、誰の真似でもないオリジナルな手法で作られていること。
この写真の作品も、独自の工夫が細部に施されていて、手に持つと、粘土製なのにうんと軽いので、何故か聞いてみたところ、後々加工しやすいよう、中はスチロール(だったと思いますが、別の軽い素材だったかもしれません。)を入れているそうです。
独特の質感があり、しっぽや耳はグルーガン!で制作しているとか。
おそらく、この方は、様々な独自の工夫を施すことによって、今後も大きく変化していくと思われ、是非、来年以降の作品もウオッチしていきたいな、と思いました。「やのりな」さん!応援してます。
「やのりな」さんへの、アクセス。