過去の作品

i-ppoたおか 田岡正臣 経堂 東京 テディベア
ぶさネコ

「売りたい」あるいは「売らなければ」という気持ちが強いと、創作内容にも影響してきます。

リスクを避けるため、展示会前は、どうしても、過去の作品で評判が良かったものと、同じものを作ろうとしてしまいます。

まあ、一言で言えば、自分で自分の作品をコピーする、ということです。

先日、友達の染色作家さんと話をしていて、自分の作品をトレースして面白いと思えるのは、2回目まで、ということで意見が一致しました。

(大きな作品は、どんなに評判が良くとも、二度と創りたくない、というところでも意見が一致しました。)

2回目は、1回目でうまく表現できなかったところをクリアしてやろう、という楽しみがあります。ところが3回目はこの楽しみはなくなります。

僕も展示会や作品展では、ある程度、人の足を止めたいので、過去に評判が良かった作品と同傾向の作品を創ります。

勿論、大きさを変えたり、色を変えたり、細部を変えたり、全く同じものは創りませんが、「ここまで変えると、前の作品ほど、評価されないのでは」と思ったりすると、パッと見は、前の作品と変わらないものを作ってしまうことがあります。

本当に面白いのは、新しいアイデア、モチーフで作品を創ることなのですが、頭の中の見取り図ではどんなに素晴らしくても、創ってみたら、パッとしなかった、ということがあります。

いや、むしろ、完成するまでは、全く人がどう評価するかわからない、というのが本当のところです。

作品を創り始めた初期のころは、創るものすべてが実験作のようなところがあり、毎回楽しくて、面白くて仕方なかったですが、展示会の経験を重ねるごとに、そういった純粋さも少なくなり、売れることを意識するようになってきたようで、どこかに、過去に評判が良かった部分を入れようとしてしまいます。

(どんなジャンルの作家も、年を取るごとに自己改革が面倒になり、多かれ少なかれ、過去の自己作品をトレースする傾向にある、とは思いますが。)

これは、自分の個性を出す、オリジナリティを出す、というのともちょっと違い、観る人に媚びている部分があって、行き過ぎると、全く新味のない作品に仕上がります。

個人的には、すべての作品が、どんな風に評価されるかわからない、売れるかどうか、出たとこ勝負、というライナップで臨みたい、という気持ちもあるのですが、展示会に臨むと、幾らかは、過去に人気があった作品に近い作品を作ってしまうのです。

 

この傾向が行き過ぎないよう、時々自己チェックはしているつもりなのですが・・・。