リアル志向

これ蝋人形だそうです・・・
これ蝋人形だそうです・・・

人間や動物をモチーフにして作品を制作する場合、出来る限り本物に近づけるか、それは二の次にして、作り手の個性を発揮させる方向で制作するか、大きく、二つの方向性がある、と思います。

蝋人形が、人形をモチーフにする場合、リアル志向の最たるもので、少し離れたところから見れば、本当にそこに人間がいるかのような臨場感があります。

勿論、リアル志向と、個性志向が全く相いれない訳ではなく、リアルを目指しつつ、個性も発揮する、という作り手もいます。

僕自身は、例えば、キツネをモチーフにする場合、リアルであるかどうかは二の次で、オリジナリティがあれば、後はそれが第三者に「キツネ」であることが分かれば十分、それ以上意図的に本物に近づける必要はなし、と思っています(勿論、本物に近づけるのが大変難しく、時間がかかることも理由のひとつですが。)。

さすがに、「キツネ」を作ったつもりが、殆どの人に「ネコ」に見えるなら、もうモチーフとしてキツネを選んだ意味さえなくなる、と思います。

但し、キツネに見えようが見えまいが、作品の魅力自体を損なうものではない、と思っています。

現に、何のモチーフか、どの動物かわからない(架空の動物かも)作風の作家でも、素晴らしい作品を作る人がいます。

ところが、一般的には、普段アート作品やハンドメイド作品に興味がない人ほど、リアル志向の作品を「凄い」「上手い」と評価します。

勿論、アート好き、ハンドメイド好きにも、リアルな作品が好きな人もいるのですが、僕の知る限り、深みにはまるほど、リアルより個性を尊重する傾向にあるように思えます。

リアルな作品つくりは、モチーフを現実に近づけることに大変な努力と技量が必要で、そのスタンスを否定するつもりはありませんが、それが最終的に自分の個性を発揮するために必要な「リアル」でなければ、その人が作った証がない、と思うのですがどうでしょう。

 

限りなくリアルに近づけば、皆同じような作品になると思うのですが・・・・。